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の二つがある。
2)視力の低下は、40〜50才頃から始まり、60才を越すと急激な低下が起こり、70才代では、20才位のおよそ2分の1の視力(0.5程度)になると言われている。
3)白内障化は、眼の水晶体が永年紫外線にあたってきたことによって、成分質のたんぱく質が分解し、透明から黄色、さらに褐色になる症状である。
50才代から始まり、70才代では84%の人に白内障化がみられるという。
4)黄変化した水晶体によって、本来の色は黄色味を混ぜたように網膜に映ることから、黄色は白っぽく、青色はくすんで黒っぽく感じる。
つまり黄色と白、青と黒の区別はつかないことになる。

 

3. 聴覚の衰え
1)高齢者の聴覚機能の衰えは一般に50〜55才頃に顕著になり始めるといわれ、典型的には、
a.可聴範囲の減少
b.聴力損失の拡大の
二つがある。
2)可聴範囲の減少とは、聞こえる音の周波数(Hz)域が狭くなることである。
特に2000Hzを越える音域が聞こえなくなって、例えば「リリリーン」という電話音は「ゴロゴログー」のように聞こえ、やかんの沸騰ベルの「ピー」という音やコンピューターのエラー音などは聞こえなくなるという
因みに人間の可聴範囲はおよそ16〜16,000Hzといわれている。
3)聴力損失の拡大とは、聞こえるために必要な音の強さ(dB)が大きくなることである。
30dBの損失で話声が聞きとりにくく、50dB以上の損失があると聞くことが困難といわれている。
4)障害レベル6級の聴力損失は60〜70dBで「40cm以上の距離で発声された会話語を理解し得ない」とされているが、高齢者の多くはこのレベルに達していて、特に「高齢難聴」として定義づけられている。
5)つまり高齢者のうちかなりの数の人が聴覚障害者である。

 

5-2 現状設備の評価
1. 困惑や要望等の推測
高齢者の情報受容の特徴から考えると、駅の視覚案内・音声案内及びその周辺環境について、以下のような困惑や要望等を感じていることが推測できる。
1)視覚の衰えによって困ると感じる内容には、次の例などがある。
a.文字が小さくて見づらい(例えば地図や高所の運賃表)。
b.色彩対比が弱くて見づらい(例えばグレー地にライトグレーの文字)。
c.黒と青の対比が見づらい(例えば男子トイレのピクトグラフ)。

 

 

 

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